胃管からの栄養投与で注意すべき可塑剤とは。
SAH 人工呼吸器管理中の為胃管挿入中
医師「胃管から経腸始めるよ」
僕「はいいいい」
先輩「フィーディングチューブに入れ替えないの❓」
医師「いいよ、エレンタールだし、明日から入れ替えるかな」
僕「❓」
何故胃管からの栄養投与でフィーディングチューブに入れ替える必要があるのか。エレンタールは何故OKなのか…
まず胃管の目的として基本
・減圧目的 では14〜16Frを使用、経腸栄養目的では12Fr以下のフィーディングチューブを用いる。ベンチレーター管理の患者は腹部膨満の予防、胃内容逆流防止、経管栄養を目的として留置している。
となっているのですが、フィーディングチューブに入れ替える理由がわかりませんでした。そこで胃管の説明書を見てみると
こういう文書が出てきました。そもそも可塑剤、dehpとは何なのか
DEHPとはフタル酸-2-エチルヘキシルという有機化合物です。このDEHPはプラスチックを柔らかくする可塑剤として用いられています。輸液セットや胃管、血液透析回路などはPVCと言われるポリ塩化ビニルで出来ているのです。PVC自体に有害性はないのですが、PVC自体非常に固く、曲げにくい為、DEHPを添付して柔らかくしています。
ただ、このDEHPは有毒性があるといわれています。一時期この問題が大きく取り上げられて、学校給食の食器がプラスチック製からステンレス製に変更されたそうです。DEHPは、ぞくにいう環境ホルモンと呼ばれるもので、大量に摂取すると、肝臓や生殖器、染色体に悪い影響があるといわれています。
近年、輸液セットには「PVCフリー」や「DEHP」フリーと記載されている製品が増えてきました。施設によっては、取り扱いのミスを防ぐために、全ての製品をPVCフリーまたは、DEHPフリーの輸液セットを使用しています
PVCフリーとは、素材にPVCが使用されていないということです。PVCが使用されていないということは、もちろんDEHPも使用されていません。
それに対して、DEHPフリーというのはPVCは使用しているが可塑剤にDEHPを使用しておらず、DEHP以外の可塑剤を使用しているということになります。
これでDEHPの有害性についてわかりました。
恐らくこの患者に使用していた胃管はDEHPが含まれており、脂溶性を含んだ栄養を投与した場合、患者に害を与える可能性があったということです。その為可塑剤が含まれていないフィーディングチューブへの交換を先輩は医師に確認したことになります。そしてエレンタールはアミノ酸が主な栄養素であり、脂肪は含まれていないのでDEHPが溶出しないから交換はしなくて良いという見解だったわけです。
まとめ
胃管には可塑剤が含まれている商品があり、脂肪を含む栄養剤を投与する場合GDHPフリーのフィーディングチューブに入れ替える必要がある。