日々ログ

看護師6年目 日常で感じたことから勉強した内容をアウトプットするためのブログ

胃管からの栄養投与で注意すべき可塑剤とは。

SAH 人工呼吸器管理中の為胃管挿入中

医師「胃管から経腸始めるよ」
僕「はいいいい」
先輩「フィーディングチューブに入れ替えないの❓」
医師「いいよ、エレンタールだし、明日から入れ替えるかな」
僕「❓」

何故胃管からの栄養投与でフィーディングチューブに入れ替える必要があるのか。エレンタールは何故OKなのか…

まず胃管の目的として基本
・減圧目的 では14〜16Frを使用、経腸栄養目的では12Fr以下のフィーディングチューブを用いる。ベンチレーター管理の患者は腹部膨満の予防、胃内容逆流防止、経管栄養を目的として留置している。

 

となっているのですが、フィーディングチューブに入れ替える理由がわかりませんでした。そこで胃管の説明書を見てみると

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こういう文書が出てきました。そもそも可塑剤、dehpとは何なのか

DEHPとはフタル酸-2-エチルヘキシルという有機化合物です。このDEHPはプラスチックを柔らかくする可塑剤として用いられています。輸液セットや胃管、血液透析回路などはPVCと言われるポリ塩化ビニルで出来ているのです。PVC自体に有害性はないのですが、PVC自体非常に固く、曲げにくい為、DEHPを添付して柔らかくしています。
ただ、このDEHPは有毒性があるといわれています。一時期この問題が大きく取り上げられて、学校給食の食器がプラスチック製からステンレス製に変更されたそうです。DEHPは、ぞくにいう環境ホルモンと呼ばれるもので、大量に摂取すると、肝臓や生殖器、染色体に悪い影響があるといわれています。
近年、輸液セットには「PVCフリー」や「DEHP」フリーと記載されている製品が増えてきました。施設によっては、取り扱いのミスを防ぐために、全ての製品をPVCフリーまたは、DEHPフリーの輸液セットを使用しています
PVCフリーとは、素材にPVCが使用されていないということです。PVCが使用されていないということは、もちろんDEHPも使用されていません。
それに対して、DEHPフリーというのはPVCは使用しているが可塑剤にDEHPを使用しておらず、DEHP以外の可塑剤を使用しているということになります。

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これでDEHPの有害性についてわかりました。
恐らくこの患者に使用していた胃管はDEHPが含まれており、脂溶性を含んだ栄養を投与した場合、患者に害を与える可能性があったということです。その為可塑剤が含まれていないフィーディングチューブへの交換を先輩は医師に確認したことになります。そしてエレンタールアミノ酸が主な栄養素であり、脂肪は含まれていないのでDEHPが溶出しないから交換はしなくて良いという見解だったわけです。

まとめ
胃管には可塑剤が含まれている商品があり、脂肪を含む栄養剤を投与する場合GDHPフリーのフィーディングチューブに入れ替える必要がある。

SIRS(systemic inflammatory response syndrome)

侵襲とは外傷、感染症、出血、低酸素といった疾病・病態や恐怖、精神的刺激、医療処置などによる内外への生体への刺激を指す。
この侵襲によって生体に炎症反応が起こり、全身に及んだ状態をSIRS(全身性炎症反応症候群)という。

診断基準
1 体温が38度以上または36度以下
2 心拍数90回以上
3 呼吸数20回以上またはPaCo2 32以上
4 WBCが12000/μL、または4000/μL以下
上記の2つ以上を満たす場合をSIRSとする。

概念図

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γ計算

γ(ガンマとは)
薬剤の投与速度の単位を表します。

1γ=[μg/kg/min]
であり1γは体重1kgあたり1分間に1μgの薬剤が入る投与速度ということになりますが、言われてもしっくりきません。

そもそもγ計算が何故必要か、、、
体重10kgの赤ちゃんと体重100kgの大人に3mg/h投与した。場合その効果は同じではない。その人の体重に合わせた薬剤の投与量が必要となる。

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1γ=[μg/kg/min]
これをシリンジポンプの投与速度[ml/h]であり、γの単位と異なっているので単位調節をします。
1γ=体重×1/1000×60[mg/h]
1γ=0.06×体重[mg/h]となります。

この患者にとっての1γは❓mg/hなのかが重要となる。
体重50kgの人の場合 1γ=50kg×0.06=3.0[mg/h]
50kgの人に3γ流したい場合 3γ=3.0[mg/h]×3=9.0mg/hとなる。

今の単位は[mg/h]であるためシリンジポンプの投与速度[ml/h]で合わす必要があります。これを計算するには投与する薬剤の濃度が必要です。その方程式は…
薬剤の濃度×γ=0.06×体重[ml/h]


例として50kgの患者にDOA0.3% 150mg/50mlを2γで投与したい場合
2γ=0.06×50kg[mg/h]×2
2γ=6mg/h
150mg/50ml=6mg/x
3x=6
x=2ml/hとなる。

看護師は予め投与されているもの何γか計算することが多いですね。
例として体重58kgの患者にNAD10mgを5%ブドウ糖に希釈しtotal50mlにしたものを8ml/hで投与されている。
1γ=0.06×58kg
1γ=3.48mg/h
10mg/50ml×8ml/h=3.48mg/h
3.48=0.2mg×8
3.48=1.6
γ=0.46
NADを0.46γで投与していることとなる。